初期古典レンズ(ペッツバール等)撮影用 大判デジタルカメラの試作

カメラ データ


製造        

画像サイズ       

使用カメラ       

レンズ          

撮影枚数
 
       


自作


40mmx120mm (40mmx80mm for Hypergon)

SONY α7R

ペッツバール、風景用ダブレットなど1800年代中心の古典レンズ(ダゲレオタイプ、湿判写真用)、ハイパーゴン(ハイペルゴン)使用可

α7Rで上段5枚、下段5枚=10枚をPHOTOSHOPで合成し、1枚の画像を得る。
ハイパーゴン(ハイペルゴン)は上段3枚、下段3枚=6枚


 カメラ画像
ペッツバールレンズ装着時


ハイパーゴン(ハイペルゴン)レンズ装着時




 
作り方
そもそも、ペッツバールレンズだけを考えれば、通常の4x5カメラのフィルムバック部分に「fotodiox」を装着すれば、大判のデジタル撮影は可能です。

  ⇒ ただし、このままではバックフォーカスが長すぎて、ハイパーゴン(ハイペルゴン)が使えない。

そこで、バックフォーカスが約5cmほどしかないハイパーゴン(ハイペルゴン)でも、無限遠で撮影できるような「超薄型デジタルボディ」を作ることにしました。
とはいっても、
大げさな作業をする技術も道具もありません。

  ⇒ Mamiyaのレールつき蛇腹フードと、fotodioxを直結して使用することに。
  ⇒ fotodioxのマウント自体もかなりでっぱっておりますので、一度マウントを切り落として、再度SONY Eマウントを付け直しました。
  ⇒ さらにfotodioxの稼動部分のストッパーを外して、イメージサークルの端まで、α7Rが移動できるようにしました。

そして、底の部分に三脚穴を取り付けて、完成です。
それでもハイパーゴン(ハイペルゴン)では、無限遠ぎりぎりでした。


なぜ?こんなものを作ったか  
@ペッツバールレンズに代表される古典レンズは、イメージサークルの中央部は非常にシャープです。

日本では江戸末期から明治時代に当たる実際にこれらのレンズが活躍した撮影時も、主にはシャープに写る画面の中央部を中心に撮影したものと 思われますが、それでも、画面のサイズは1/2プレート(4.25インチx5.5インチ)、1/4プレート(3.25インチx4.25インチ)、1/6プレート(2.75インチx3.25インチ)などが主流でしたから、現在のデジタルカメラの受光素子サイズよりは、大幅に大きくイメージサークルを活用していました。

   ⇒ じゃあ、これらのレンズを当時と同じイメージで使いたい。そして画像の周辺部も、見てみたい。 
     しかも手間と費用のかからないデジタルで。

Aハイパーゴン(ハイペルゴン)の画像を、デジタルで手軽に撮影したい。
  
   これは、ずっと以前から抱いていたひとつの夢でした。
   このカメラの重量はレンズなしでは、300-400グラムくらいしかありません。

ペッツバールがこのように写ります。  
使用レンズ : Dallmeyerの初期ペッツバールレンズ(No.2638 1861年 焦点距離120-130mm)での作例

 左の画像が、α7Rにこのレンズを直接装着しての中望遠レンズとしての作例
  非常にクリアでシャープな描写です。

 右の画像が、この試作カメラでの40mmx120mmの画像。
 右の画像の左右の端では、ペッツバールレンズ特有の像面湾曲に伴う非点収差の「ぐるぐる」と、周辺光量の低下が顕著に見られます。

 


 左の画像が、α7Rにこのレンズを直接装着しての中望遠レンズとしての作例
  こちらもとてもクリアでシャープな画像で、ボケもきれいです。

 右の画像が、この試作カメラでの40mmx100mmの画像。
 右の画像の左右を少しカットしましたが、それでも左右端では、ペッツバールレンズ特有の像面湾曲に伴う非点収差の「ぐるぐる」が見られます。
 周辺光量の低下は減少しました。





ハイパーゴン(ハイペルゴン)の作例です。  
ハイパーゴン(ハイペルゴン)をこのカメラで使用すると、レンズから来る光線がほぼ「点光源」からのものに近くなり(テレセントリック性ゼロ)、
画面中央部以外ではα7Rの受光素子に斜めに入ります。

従いまして、これだけ薄く作っても、画面の端では、画像が鏡胴にけられてしまい、40mmx80mm程度の画像を得るのが、精一杯でした。

もちろん40mmx80mm程度の画像では、ハイパーゴン(ハイペルゴンの超広角レンズとしての実力をほとんど発揮できているとはいえませんが、
これで、最終的な目標に一歩近づけたことは間違いないと思います。







 
 
 
 
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